過去問解説です。

2020年1月26日に行われたFP3級の実技試験を解説します。

第1問

問1. ファイナンシャル・プランニング業務を行うに当たっては、関連業法を順守することが重要である。 ファイナンシャル・プランナー(以下「FP」という)の行為に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。


1.税理士資格を有していないFPが、参加費有料のセミナーにおいて、仮定の事例に基づき、税額計
算の手順を解説した。
2.生命保険募集人登録をしていないFPが、生命保険契約を検討している顧客のライフプランに基づ
き、必要保障額を具体的に試算した。
3.投資助言・代理業の登録をしていないFPが、顧客と投資顧問契約を締結し、特定の有価証券の動
向や投資判断について助言をした

A.3: 税理士資格が無くても具体的な事例の代行でなければ税額の計算解説は可能。生命保険の必要額を計算するのはFPでも可能。投資判断の助言は投資助言代理業登録が必要です。

問2. 下記は、永井家のキャッシュフロー表(一部抜粋)である。このキャッシュフロー表の空欄(ア)、 (イ)にあてはまる数値の組み合わせとして、正しいものはどれか。なお、計算過程においては端数処理をせず計算し、計算結果については万円未満を四捨五入すること

1.(ア)453 (イ)383
2.(ア)454 (イ)383
3.(ア)454 (イ)386

A.3:夫の給与は年1%増えるので、440.36→444.7636→449.211236→454(453.7)となる。金融資産残高は前年が340万円で1%増えるので343.3万円、該当年の収支が43万円なので386.3万円。四捨五入して386万円が正解。

第2問

問3下記は、NISA(少額投資非課税制度)およびつみたてNISA(非課税累積投資契約に係る少額投資非課税制度)についてまとめた表である。下表の空欄(ア)~(ウ)に入る語句として、最も適切なものはどれか

1.空欄(ア):「同時に」
2.空欄(イ):「40万円」
3.空欄(ウ):「10年間」

A.2:アはどちらか一方を、イは正しい、ウは20年である。

問4下記<資料>は、WX投資信託の交付目論見書に記載された表である。<資料>に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか

1.WX投資信託は、投資対象として株式を組み入れることができる。
2.WX投資信託は、運用開始前の当初募集期間内のみ購入することができる。
3.WX投資信託の基準価額は、為替変動の影響を受けない。

A.1:組み入れ可能。2は記載なし、3国内外株式が対象で、為替ヘッジ無しなので為替変動にも影響を受ける。

問5 下記<資料>に基づくTX株式会社の投資指標に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、購入時の手数料および税金は考慮しないこととする

1.株価収益率(PER)で比較した場合、TX株式会社の株価は日経平均採用銘柄の平均(予想ベー
ス)より割安である。
2.株価純資産倍率(PBR)で比較した場合、TX株式会社の株価は東京証券取引所市場第1部(東
証1部)全銘柄の平均より割安である。
3.配当利回りで比較した場合、TX株式会社の配当利回りはジャスダック全銘柄の単純平均(予想ベ
ース)より高い。

A.3:PER(株価/純利益)は15で日経平均よりも割高。PBR(株価/純資産)は1.83で東証1部より割高。配当利回り(配当/株価)は2.576%とジャスダック平均より高い。株式関係の記事はこちら

第3問

問6 建築基準法に従い、下記<資料>の土地に建築物を建築する場合の延べ面積(床面積の合計)の最高 限度として、正しいものはどれか。なお、記載のない条件については一切考慮しないこととする。

1. 180m²

2. 900m²

3. 1,080m²

A.2:延床面積を求めるので指定容積率(3)×敷地面積(300平方メートル)か、12m未満の前面道路幅員(6m)×法定乗数(6/10)×敷地面積(300平方メートル)で求め、小さい方が採用されます。前面道路幅員×法定乗数は3.6になるので、この問題では指定容積率を使用します。

問7 米田さんは、下記<資料>の甲土地を購入し、自宅を建築することを考えている。甲土地の建築面積 の最高限度を算出する基礎となる敷地面積として、正しいものはどれか。なお、この土地の存する区域は特定行政庁が指定する区域に該当しないものとし、その他記載のない条件については一切考慮しないこととする 

1. 290m²

2. 280m²

3. 240m²

A.1:幅員が4m以下の場合は両方向に現在幅員から4mとなるようにセットバックする必要があります。したがって、甲乙共に0.5mセットバックするので、甲土地は20×14.5と計算します。敷地面積関係の記事はこちら

第4問

問8 西山奈緒子さんが加入している医療保険(下記<資料>参照)の保障内容に関する次の記述の空欄(ア)にあてはまる金額として、正しいものはどれか。なお、保険契約は有効に継続しているものとし、奈緒子さんはこれまでに<資料>の保険から保険金および給付金を一度も受け取っていないものとする

1. 125,000円
2. 200,000円
3. 325,000円

A.3:入院給付金が5000円×25日で125,000円、手術給付金は、入院給付額の40倍とありますから、200,000円。したがって、325,000円が正解。

問9  次の(ア)~(ウ)の事例のうち、損害保険の保険金の支払い対象となるものとして、正しいものはどれか。なお、いずれの保険も特約などは付帯していないものとする

1.(ア)
2.(イ)
3.(ウ)

A.1:住宅総合保険には地震の補償は入っていない。自賠責は対人賠償のみで対物保証がない。

問10 吉田徹さんが契約している普通傷害保険の内容は下記<資料>のとおりである。次の記述のうち、保険金の支払い対象とならないものはどれか。なお、いずれも保険期間中に発生したものであり、該当者は徹さんである。また、<資料>に記載のない事項については一切考慮しないこととする

1.外出先で食べた弁当が原因で細菌性食中毒にかかり、入院した場合。
2.休日にスキーで滑降中に転倒し、足を骨折して入院した場合。
3.業務中に指をドアに挟み、ケガをして通院した場合

A.1:普通傷害保険は日常生活のあらゆる状況の傷害を補償するが、細菌性食中毒はカバーされない。頻出。保険については、こちらの記事

第5問

問11個人事業主として不動産賃貸業を営む山本さんは、FPで税理士でもある倉田さんに2019年分の所得税より確定申告書の作成を依頼することにした。山本さんの2019年分の収入および必要経費が下記<資料>のとおりである場合、山本さんの2019年分の不動産所得の金額(青色申告特別控除前
の金額)として、正しいものはどれか

1. 250万円
2. 190万円
3. 170万

A.2:敷金は返却するので所得に含めない。家賃+礼金ー必要経費=190万円である。

問12 個人事業主として飲食店を営む宮野さんの2019年分の各種所得の金額が下記<資料>のとおりである場合、宮野さんの2019年分の総所得金額として、正しいものはどれか。なお、<資料>に記載のない事項については一切考慮しないこととする

1. 880万円
2. 780万円
3. 380万円

A.3:総所得として計算するのは、利子、配当、給与、雑、不動産、事業所得です。退職所得は含まず別に計算します。したがって、380万円が正解。総合課税・分離課税についてはこちら

第6問

問13 2019年11月20日に相続が開始された山根博子さん(被相続人)の<親族関係図>が下記のと おりである場合、民法上の相続人および法定相続分の組み合わせとして、正しいものはどれか。なお、 記載のない条件については一切考慮しないこととする

1.勝夫 2/3 正行 1/6 洋子 1/6
2.勝夫 1/2 正行 1/4 洋子 1/4
3.勝夫 1/2 正行 1/6 洋子 1/6 優奈 1/6

A.1:子が相続放棄しているので、権利は配偶者と被相続人の直系尊属(親)で割合は配偶者2/3、直系尊属1/3です。両親ともに健在なので、1/2ずつ受け取るので1/3×1/2で1/6ずつ受け取ることになるので、1が正解。相続の順位についてはこちら

問14 相続開始後の各種手続きに関する下記<資料>の空欄(ア)、(イ)にあてはまる語句の組み合わせとして、正しいものはどれか

1.(ア)家庭裁判所 (イ) 6ヵ月
2.(ア)公証役場 (イ)10ヵ月
3.(ア)家庭裁判所 (イ)10ヵ月

A.3:相続放棄は家庭裁判所に申告をして、相続税の申告は10か月以内に行います。相続放棄の手続等についてはこちら

問15 皆川真紀子さんは、夫から2019年5月に居住用不動産(財産評価額2,700万円)の贈与を受けた。真紀子さんは、この居住用不動産の贈与について、贈与税の配偶者控除の適用を受けることを検討している。真紀子さんが贈与税の配偶者控除の適用を最高限度額まで受けた場合の2019年分の贈
与税の配偶者控除および基礎控除後の課税価格として、正しいものはどれか。なお、贈与税の配偶者控除の適用を受けるための要件はすべて満たしているものとする。また、真紀子さんは2019年中に、当該贈与以外の贈与を受けていないものとする。

1. 90万円
2. 590万円
3. 700万円

A.2:贈与における配偶者控除は、基礎控除と併用できます。したがって、2000万円(配偶者控除)+110万円(基礎控除)となるので、2,110万円が控除されます。2,700万円が評価額なので、590万円が課税価格となります。贈与の配偶者控除についてはこちら

第7問

問16 FPの福岡さんは、資金計画どおりにマンションを購入した後の荒木家のバランスシートを作成した。下表の空欄(ア)にあてはまる金額として、正しいものはどれか。なお、<設例>に記載のあるデータに基づいて解答することとする

1. 160(万円)
2. 660(万円)
3. 1,060(万円)

A.2:保有財産は560万円、3000万円のマンションを購入し、頭金は500万円、住宅ローンは2500万円であり、ここでカギとなるのは親からの贈与100万円。マンション価格は資産になり、これは頭金と住宅ローンで相殺される。したがって、現有財産に親からの贈与100万円を足した、660万円が正解。基本的に項目通り計算していけば導かれる。

計算式:純資産=資産合計ー負債合計

純資産(万円)=100+250+200+10+3000+100-2500-500=660

問17 浩介さんは、今後10年間で毎年36万円ずつ積立貯蓄をして、長女の千穂さんの教育資金を準備したいと考えている。積立期間中に年利2.0%で複利運用できるものとした場合、10年後の合計金額として、正しいものはどれか。なお、下記<資料>の3つの係数の中から最も適切な係数を選択して計算し、解答に当たっては、千円未満を四捨五入すること。また、税金や記載のない事項については一切考慮しないこととする

1. 3,234,000円
2. 3,942,000円
3. 4,388,000円

A.2:終値を計算したく、積立額がわかっている。したがって、年金終価係数を使用する。6種の係数についてはこちら

問18 浩介さんは、会社の定期健康診断で異常を指摘され、2019年11月に2週間ほど入院をして治療を受けた。その際の病院への支払いが高額であったため、浩介さんは健康保険の高額療養費制度によって払戻しを受けたいと考え、FPの福岡さんに相談をした。浩介さんの2019年11月の保険診療に
係る総医療費が90万円であった場合、高額療養費制度により払戻しを受けることができる金額として、正しいものはどれか。なお、浩介さんは全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者で、標準報酬月額は「36万円」である。また、浩介さんは限度額適用認定証を病院に提出していないものとする。

1. 86,430円
2. 183,570円
3. 189,870円

A.2:標準報酬月額から80,100円+(総医療費-267,000円)×1%であるとわかります。したがって、80,100円+6,330円が支払額。総医療費90万円のうち、3割負担をすると支払った額は27万円です。限度額と、支払額の差額が払戻額なので、270,000円-86,430円=183,570円となります。

問19 浩介さんの公的年金加入歴は下記のとおりである。仮に浩介さんが現時点(33歳)で死亡した場合、浩介さんの死亡時点において妻の理恵さんに支給される公的年金の遺族給付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、浩介さんは、入社時(22歳)から死亡時まで厚生年金保険に加入しているものとし、遺族給付における生計維持要件は満たされているものとする。

1.遺族基礎年金と死亡一時金が支給される。
2.遺族厚生年金と寡婦年金が支給される。
3.遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給される。

A.3:会社員なので、厚生年金に加入しています。したがって、国民年金加入者が受け取れる、死亡一時金、寡婦年金は支給されません。

問20 浩介さんと理恵さんが加入している生命保険は下表のとおりである。仮に浩介さんが2020年2月に死亡し理恵さんに保険金が支払われた場合、課税の対象となる税金の種類として、正しいものはどれか

1.相続税
2.贈与税
3.所得税・住民税

A.1:浩介さんが死亡した時なので、A保険が支払われます。契約者、被保険者が同じで受取人が妻の場合、被保険者が死亡していると、相続税が適用されます。一方Bの場合は契約者と受取人が同じなので所得税となります。保険金と税金の関係はこちら

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