今回からはFP試験で頻出分野の不動産での法令上の制限に入っていきます。2回に分けて解説していきます。

都市計画法

都市計画法の内訳は上図のようなものになります。

都市計画区域は一体的総合的に整備開発を進める地域のことです。それ以外の地域が都市計画区域外ということになりますが、準都市計画区域は都市計画区域外だけれども、都市の整備保全が必要と考えられるような地域です。

準都市計画区域は都道府県が指定します。

都市計画区域内は、さらに市街化区域と市街化調整区域に分かれます。それ以外の地域は非線引き区域ということになります。

市街化区域と市街化調整区域

市街化区域は、すでに市街地を形成している区域や10年程度を目安に優先的に計画的な市街化を図る地域のことです。

一方、市街化調整区域は市街化を抑制すべき区域のことです。

こういった区域内で一定規模以上の土地の区画形質の変更を伴う建築物の建築は、開発行為として、都道府県知事の許可が必要になります。

  • 市街化区域は原則として1000m²以上で対象。農林漁業用建築物等も同様。
  • 市街化調整区域は面積にかかわらずすべて許可が必要。しかし、農林漁業用建築物等は不要

建築基準法

市街化区域は以下のような用途地域が設定されています。用途地域によって建築可能な建物の用途が決まっています。

敷地が異なる用途の場合、敷地の過半を占める用途地域を全体に適用します。

また、それぞれの地域に対し、高さに関する制限があります。

具体的な数値については問われないと思いますので、高さ制限の適用についてまとめます。

ある高さから一定の角度で規制が設けられていて、それぞれ、道路側か、隣地側か、北側か(つまり南向きの家の日照のため)などで高さに関する制限が異なります。絶対高さ制限がある低層住居と田園住居には隣地斜線制限が必要ないので、設定されていません。2020年9月の試験で問われました。覚えておきましょう。

日影規制とは冬至の日に定められた時間以上の日影が出来ないよう高さ制限をするものです。

防火地域

防火上の都合によって、防火地域、準防火地域、指定の無い地域が定められています。

防火地域は複数ありますが、いくつかの防火地域が混ざっている場合、最も厳しい地域の指定を受けます。

敷地と道路の関係は頻出項目の一つです。

建物の敷地は、原則として4 m以上の道路に2 m以上接していなくてはいけません。これを接道義務と言います。昔は無かった規定なので、旗地と呼ばれる、主要な土地へ道路から細い道を通っていくような形状の土地建物は、現在の建築基準を満たさないので、立て替えることが出来ない問題があります。

また、図のように、4 m以下の道路に接する場合は、道路中心線から片側2 m取れるように土地を使わなくてはいけません。

反対側が川のように物理的に後退できない場合は、4 m取れるように下がらなくてはなりません。この、4 mを確保するための後退をセットバックと呼びます。

敷地の中には建築可能な面積が定められており、この面積の割合を建ぺい率と呼びます。

計算式は以下の通り

建ぺい率=建築面積/敷地面積 × 100

いくつかの条件を満たした際、建ぺい率は緩和されます。

  • 防火地域内で耐火建築物 +10%
  • 特定行政庁が指定する角地 +10%
  • 指定建ぺい率80%の防火地域内 耐火建造物 制限なし

防火地域内で耐火建造物かつ特定行政庁の指定する角地の場合は+20%になります。

建ぺい率が異なる場合は占める割合に応じて計算します。

さらに、容積率にも従う必要があります。

容積率とは敷地面積に対する建物の延床面積のことです。都市計画によって定められています。

容積率 = 延床面積/敷地面積 ×100

敷地面積の計算は前面道路が12 m未満の場合は以下の計算の容積率と、指定容積率のいずれか少ない方を採用します。

  • 住居系 前面道路の幅員 × 4/10
  • その他の地域 前面道路の幅員 × 6/10

FP試験では 容積率と前面道路の幅員が与えられて、計算させられることがしばしばありますので覚えましょう。

容積率においても建ぺい率同様、混合区画では比率で計算されます。

今回は以上です。次回は法律関係を学びましょう。


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