今回はローソク足の中でも、実体の大きさや、ヒゲの長さなどで、様々な形状で分類されるので、ローソク形状について見ていきたいと思います。
ローソクの種類
まずはローソクの種類について見ていきましょう。前回の記事では、陽線と陰線があるという話をしましたが、その中でも多くの呼び名があります。まずは陽線から見ていきましょう。
陽線の種類
代表的なものとして以下のような呼び名があります。それぞれの足で考えられている、相場の勢いについても解説してあります。ただし、必ずしも反転したりするわけではないので注意が必要です。 大陽線の定義が難しいですが、他のロウソクよりも実体が大きなものであれば、大陽線と呼べるでしょう。ヒゲが無いものを坊主と呼んで、どちらにないか、または両方ないかで呼び名が変わります。
陰線の種類
陽線と逆になっただけですが以下のようなものがあります。
ローソクの形について、明確な定義はないようです。
寄引同事
陽線にも陰線にも分類できない場合があります。それは、始値と終値が同じになってしまう場合です。
転換を暗示することが多いです。
見た目で何となく感じ取って欲しいのですが、後々、統計上定義が必要になりますので、当サイトでは、以下のように定義付けたいと思います。陽線の場合を示していますが、陰線は定義を陰線としたものと思ってください。
- 大陽線:直近(1時間足の場合24本)の高安値の平均値以上の実体を持つ。
- 陽線:直近高安値の平均値の5割以上の実体を持つ。
- 小陽線:陽線の定義以下の実体を持つ
- 下影陽線:小陽線かつ下ヒゲの方が倍以上長い
- 上影陽線:小陽線かつ上ヒゲの方が倍以上長い
- タクリ線:小陽線かつ上ヒゲがほとんどないもの
- トンカチ:小陽線かつ下ヒゲがほとんどないもの
- 寄引同事:高安値に対して、始値と終値の割合が1割以下のもの
- 下十字:上ヒゲがあり、かつ下ヒゲが倍以上の長さのもの
- 上十字:下ヒゲがあり、かつ上ヒゲが倍以上の長さのもの
- 十字:上下のヒゲの比が0.5<ヒゲ比<1であるもの
- トンボ:上ヒゲが無いかあっても短く、下ヒゲが4倍以上長いもの
- トウバ:下ヒゲが無いかあっても短く、上ヒゲが4倍以上長いもの
寄せ線や四値同事はほとんど出ないか、十字などに重複するのでここでは定義しません。
陰線陽線の区別をせずに、大線、中線(通常の陽線または陰線)、小線の割合を見てみましょう。USDJPY1時間足を使用して過去・約7年のデータを参照しました。以下すべて同じデータを使用しています。
- 大(陽、陰)線:11.7%
- 中(陽、陰)線:23.9%
- 小(陽、陰)線:64.4%
ほとんどが小さなローソク足(直前の連続する24本の1時間足高安値の平均値の半分以下)であることがわかります。
さらに、小陽線の割合を見ていきましょう。
ほとんどがコマ。つまり、上下にヒゲが同程度の長さで出来ていて、実体としてもそんなに長くないものがほとんどを占めています。
陽線と陰線どっちが多いの?
これは何となく答えがわかると思いますが、1時間足で見る限り陽線と陰線の比は、ほぼ1:1(陽線50.8%陰線49.2%)の割合で出現します。
長さを考えずに、陽線の後に、陽線が来るのか、陰線が来るのかについて考えるなら、こちらもほぼ50%の割合で出現しますが、陽線の後には陰線がほんの少し出やすく、陰線の後には陽線がほんの少し出やすいようです。
表の見方は、左の欄で現在のローソクパターン、次の出現が陽線の場合と陰線の場合を見ています。実際は、陽線の前が陰線であることが必須になっています。つまり、一番上の陽線は、陰線→陽線→陽線が48.7%で、陰線→陽線→陰線となる割合が51.3%であるということです。
前回の記事では、9割以上ヒゲがあるという話をしました。したがって、陰線、陽線と来た場合、次のローソクは陰線が少し出やすいと考えられるため、00分の始値から上に言った場合は逆張りで売るとやや優位なエントリーができます。
気を付けてほしいのは、この数値は勝率のみしか与えてくれないので、値幅は別に考える必要が出ます。これだけでエントリーするのは危険です。
ローソク足の形で流れが読める?
過去のデータで数値だけを追ってみました。同事線は統計上全く同事でなくても実体が極めて小さい場合に同事線として扱っています。イメージとしては実体の小さなコマでヒゲが長いものです。
トンボ
出現率が低く、反転示唆と言われるトンボから見てみましょう。
陽線→トンボと来たら、陰線が出る確率が陽線が出る確率よりも2割くらい高いようです。陰線のあとのトンボも若干ですが陽線が出やすいようです。
陽線→トンボの後に、下方向に始まったらヒゲを作るとよんで逆張りロングも面白いですね。
上十字 下十字 十字
同様に、下十字、上十字も見てみましょう。
陽線→上十字、陰線→下十字となるパターンが多いようです。不思議なことにどちらも陰線が出やすいようです。
一方、陰線後に上十字が出た場合は4割程度、陽線が出やすく、陽線後の下十字では1割程度陰線が出やすいです。
したがって、上位で陽線後に上下どちらかに長い十字線の後は陰線を期待してもよさそうです。
一方、底値圏では陰線→下十字はトレンド継続、陰線→上十字は反転サインと考えられます。これは注意が必要ですね。
次に、迷いとされる十字線を見てみましょう。
迷ってますね。ただ、陰線の後の十字線は陽線が若干出やすいようです。
タクリ線
タクリ線は陽線・陰線ともに同じであるように言われていますが、統計上は結構異なります。
タクリ陽線は、陽線後に出ると、陰線が出やすいですが、タクリ陰線の場合は反対に、陽線後は陽線が出やすくなります。
一方、タクリ陽線は陰線の後に出た場合は、陰陽どちらの足が出るかわかりませんが、タクリ陰線の場合はどちらの場合でも陽線が出やすくなっています。
特に、陰線の後のタクリ陰線は陽線出現率が倍程度なので、転換を期待できるでしょう
また、タクリ陽線後は陰線が出やすく、タクリ陰線の後は陽線が出やすいです。面白いですね。
トンカチ
トンカチは、トンカチ陽線の場合は、上昇の勢いが弱くなってきたことを示し、トンカチ陰線は先安感が弱くなってきたことを示していると言われています。1時間足のデータを見てみましょう。
データ的には言われているような結果ですね。トンカチ陽線の後は陰線が出やすく、トンカチ陰線の後は陽線が出やすいです。面白いですね。
上影、下影
最後に上影、下影のローソクを見てみましょう。
おやおや?こちらは言われている内容とはちょっと違うようです。影の向きよりも、そのローソクの陰陽の方が重要な気がします。
結構大事なローソク足
ここまで見てきて皆さんはどう思ったでしょうか、たったの数%しか差が無いから意味がない!と思うのか、結構優位だなと思うのか。これは人それぞれ価値観によるのかなと思います。
今回示しているのは、1時間足、約7年分のUSDJPYのデータです。他の通貨ペアや、ローソクの期間によっても恐らく違ってくるでしょう。ご自身でどんなタイミングでこれらの足が出てくるか過去チャートで見てみると良いと思います。
特に、今回のデータは、出現したローソク足の属する価格帯が、天井圏であるのか、底値圏であるのかについては加味していません。それでもこれだけ差が出るのですから、反転するタイミングや、底値と天井の間にいる時はトレンド継続のサインとなることもあるでしょう。
つまり、トレンド継続と反転を同時に計数していますので、もっと偏る可能性は十分にあります。
過去チャートではこれらのローソクが、トレンドのどこに位置するかがすでに分かっています。どの位置で、どのローソクが出た時は陽線が出やすいのか、陰線が出やすいのか、仮に反転ではないローソクが出ても、その後、数ローソク後に反転し始めるのか…
色々な仮説を立てて、検証してみると、優位性を見出せると思います!
MT4では過去のローソク足をエクセルで処理可能なCSVファイルで出すことが可能です。今回の検証もFXTFのヒストリカルデータから1時間足を作成して検証しました。
FXTFはMT4も使えてスプレッドも小さいのでおすすめです。