2024年、都知事選が終わって、早いもので10日が過ぎました。

現職が強く、小池百合子氏が3選を果たしたわけですが、その直前に、「東京都の合計特殊出生率が0.99」と報道され、小池子育て政策が知識人に批判されたり、また、批判する候補もいたわけです。

現にどんどん下がって、ついに1を割ったじゃないか!けしからん!って思う人もいるでしょう。

でも、ちょっと待ってください。合計特殊出生率ってどんな指標だか、ご存じですか?

正直、この指標はあまり意味をなしません。特に「東京都」に限って話をする上では全く価値がありません。そのうえで、批判していた人たちの質に疑問を持てるようになって欲しいと思います。

合計特殊出生率とは?

1人の女性が一生の間に出産する子供の数。とされています。具体的には15歳から49歳までの年齢別出生率を合計したものです。確かに子供が埋めそうな年齢という意味では15~49歳ってのは合理的かもしれません。

しかしながら実際の問題として、15歳で子供はほとんど生みませんし、ゆがみが出そうな指標であることは何となくわかると思います。

東京2023年合計特殊出生率0.99の意味

さて、前述のとおり合計特殊出生率とは

ある齢の女性が生んだ子供の数/ある齢の女性の数 の 15~49歳までの合計値です。値が下がるのは

女性が生んだ子供の数が減る

もしくは

女性の数が増える

通常、人間の数は急には増えません。が、ここに問題があります。

東京都の合計特殊出生率は、人流によって変わりうるのです...

実際、東京都は、大学や、企業が集まっているため、

18歳と22歳の流入がとても大きいです。そのため、東京都の合計特殊出生率は低くなりがちです。

こういったことから、合計特殊出生率は、「地域」で見てはいけない指標なのです。

合計特殊出生率を見てみよう!

日本全国の合計特殊出生率の推移

ものすごい勢いで下げていますね…2005年以降上がっていって2015年で頭打ちになりその後また下げています。 ここで、合計特殊出生率の定義を思い出してみましょう。

15-49歳の女性が生む子供の数

でしたね。2015年の49年前というと、1966年です。実はこの年は丙午といって、女の子を生まないほうが良いとされる年であったために出生数がとても少なかった年です。したがって、女性の人口が少ないという事が合計特殊出生率に影響を与えています。今の出生数は当然減っていますが、それを上回る速度で49歳女性が減れば、この指標は上がるのです。

出生数も見てみましょう

日本全国の出生数の推移

一方的に下げてますね。出生数と、合計特殊出生率を同時に見てみましょう。

出生数は下がり続けているけれど、丙午が49歳になる2015年に向けて合計特殊出生率が増えていくのがわかる

そして、1971-1974といえば第二次ベビーブームです。45-49を足すと、そう2020-2023なんです。今、一番分母が大きい時期なんですよね。したがって、合計特殊出生率はとても下がります

年齢別人口の推移も見てみましょう。

45-49歳人口が2020年頃に最大であるのがわかる。5歳ごとの統計なので、5年ごとにずれるだけ。したがって、2030年に向けて45-49歳人口が減ると推測できる

したがって、今後、合計特殊出生率は、上がっていきます。特に何もしなくてもです。

次に、2023年の合計特殊出生率の上位と下位を見てみましょう。

上位と下位の合計特殊出生率の推移やはり東京は少ない

これを見てもらうとわかりますが、東京はやっぱり低いのですが、推移自体はどの県も一緒です。むしろ数値としては東京に近づいているとも見えるかもしれません。つまり、差が小さくなってきています。

ここで、これらの県の15-49歳の人口の推移を見てみます。

15-49歳人口の推移

これは、合計特殊出生率の分母の推移という事になります。東京は微増、北海道は急速な下落、その他は緩やかに下落… 比率になおしたら同じくらいなのかもしれません。これを見たら、東京の合計特殊出生率が下がるのは仕方がないのわかりますよね?

さて、最後に日本の総出生数に占める、各都道府県の割合を見てみましょう。ここで見るのは合計特殊出生率が上位と下位だったものに絞ります。

日本の総出生数に占める各都道府県の出生割合

東京 めっちゃ日本の人口に貢献していると思いませんか?ただ、これ以上に15-49歳人口が増えているので、合計特殊出生率は下げていますが…

いかがでしたか?合計特殊出生率が、地域別に見たら全く意味のない指標だという事がわかったと思います。また、丙午、ベビーブームなどの影響で、分母も大きく変わることからばらつきやすい指標なんです。

今回は1990年以降のデータ範囲で見ています。この範囲外でどうであったのか、わかりません。それでも東京都は、日本における出生数割合を見ると、都知事の青島さん、石原さん、猪瀬さん、舛添さん、小池さんと、ずーっと出生割合が増加していっています

これは、子育てするなら東京で!って思てっている人が結構いるよ!ってことを示しているのだと思います。

皆さんは変な指標には騙されないようにしてくださいね。

最後に出生割合の上位を出しておきます。

日本の出生数に対する割合が高い都道府県

こうしてみると、人の多い県の中でも、東京都は突出して出生割合が多いのわかりますよね。つまり、東京は子育て世帯・世代に選ばれています。それは、東京の子育て政策が功を奏していると言えるのかもしれません。

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