大学教員としてもFPとしても習ったことを暗記するのではなく、考えるということの重要性を説いています。今回は考えるということの重要性について考察してみます。

考えるということ

投資においても人生においても考えるということは重要です。2019/3/9に行われた「投資戦略フェアEXPO2019」に参加し、そこでテスタさんの講演等を聞いてまいりました。非常に有益でありましたし、興味深いものでした。なぜ興味深いかというと、専業トレーダーの方の考え方、行動原理が、科学業界のあるべき姿と同じだったからです。

テスタさんは非常に高名な方で、800万の元手から30億を超える利益を出しており、かつ、月単位ではマイナスになったことがほとんどない優秀な専業トレーダーです。当サイトに来ている皆さんは知っている方も多いかもしれませんし、彼のように専業トレーダーになりたいという人もいるでしょう。まだ知らなくて、気になった方は「テスタ 株」あたりで検索すれば沢山情報が出てきます。

さて、なぜここでテスタさんの話が出てくるかというと、公演されたテーマが考えるということだったからです。私の主戦場は生命科学の研究ですが、やはり考えるということが重要です。それは私が大学に入る前の非正規雇用で工場勤務だったころには既に思っていたことでもあります。

考えて生きていますか?

皆さんは考えて生きているでしょうか。実はこれは非常に深い問題です。投資において考えずに有名な人のコピートレードする人もいるでしょう。しかし、この段階でも「勝率の良い人に乗っかれば良い」と考えたのかもしれません。しっかりと仮説を立てて、調べて、妥当であるか判断して、行動に移して、その行動が正しく行われていたか検証し、新たな仮説を立てる…。テスタさんの講演はまとめるとこのようなことを言いたかったのではないかと思います。

この行動は考えているのでしょうか?今までの経験で同じような方法に偶然出会って、うまくいったから今回もそのようにした、誰かが言っていたから同じようにした…。

人は様々な情報を与えられて生きてきています。考えるという作業は、もしかしたら、多くの経験によってはじき出される論理的経験知なだけで、ヒトはそもそも考える能力などないのかもしれません。最近はやっているAI技術は、このような沢山の経験の積み重ねから判断基準を学習させるもので、AI自体は考えていません。

デカルトの話

実はこのような考えるという行為については、1600年頃に活躍した、数学者、哲学者であるデカルトも言及しています。「我思う故に我有り」は有名な言葉なので聞いたことがある人もいるかもしれません。

デカルトは、本当に正しいと思えることは何かという哲学的な考えをしました。1+1=2は本当に正しいのか?皆さんは1+1=2と習っているので正しいと思うでしょう。しかし、1という概念を定義したのはヒトであり、そもそも1という概念自体が正しいのかどうか…デカルトはそこまで検証していきました。

その結果、正しいと言えそうなことは世の中にはないが、ただ一つ受け入れなくてはいけない真実を見つけました。それが「我思う故に我有り」です。考えている自分という存在は、何かを考えている限り間違いなく存在していると思われるわけですね。長くなりましたが、デカルトの書いた本「方法序説」(正しくは『理性を正しく導き、学問において真理を探究するための方法の話(方法序説)。加えて、その試みである屈折光学、気象学、幾何学。』の序文)の真理に至る方法という4つの段階の考え方は、人生においても科学においても投資においても使える素晴らしい姿勢です。私はいつもこの4つを意識しておりますが、果たして考えて生きていられているのか、真理に至るためのステップを考えずに遂行しているだけなのか…非常に難しい問題ですね。ただ、思う→考える→行動する→反省するというステップは誰にでも出来ますし、少し踏み出せばよいだけです。もう一歩先まで考えてみるよう習慣づけましょう。最後にデカルトの真理に至る4つの方法を紹介します。

  • 明証的に真であると判断できるもの以外、受け入れないこと。(明証)
  • 大問題を複数の小問題にわけること。(分析)
  • 単純なものから複雑なものへ思考を移行すること。(総合)
  • 見落としがないか、全てを見直すこと。(枚挙 / 吟味)

今でいうPDCAサイクルのようなものですね。PDCAはPlan(計画) Do(実行) Check(検証) Action(反省改善)の略で、どんどんと活動を改善しましょうというようなことですが、とりあえずDoから入るのでも良いと思います。特に学生には実験は失敗しても良いよと伝えています。投資で失敗すると損失が出てしまいますが、そこで反省して、次に生かすという行為が「考える」ということの本質なのだと思います。

何か問題が起きた際に、誰かのせいにしたりするのは好ましくありません。自分の問題として捉え、何か改善点が無かったか振り返りましょう。すなわち、コピートレード自体は問題ありません。しかし、その判断は自分が決定したこととして責を負うこと、うまく行っても行かなくても振り返って、論理性を見出すこと。それが重要なのだと思います。

まずは一歩、先へ進もう

いかがでしたか、「考える」とは簡単に言うけれど、非常に難しいが重要なものであるということが伝わりましたか?研究者はいつも考えてしまっています。こういうと皆さんには倦厭されますが、投資家も職人も主婦も、従事するライフスタイルについて考えていると思うのです。

世の中には様々な考えを持つ人がいます。むやみに批判したり、同調したりするのではなく、自分の意見をのせて一歩先まで考えてみましょう。教育者なので何度も言いますが、若いうちは学習することが一番重要です。学校で習ったことなんて役に立たない。実際に社会に出た人も役に立たないと言ったりします。ですが、役には立っているのです。それが直接的なものでないから伝わりにくいのですが。

何が言いたいかというと、学校で習っていることというのは知識ではないのです。知識を通じて「考える」を育んでいるのです。「こんなことして役に立つの?」は実は「考える」の第一歩です。教育効果が出ているのです。ここでアインシュタインの言葉を引用します。



教育とは、学校で学んだことをすべて忘れたその後に残っているものだ


アインシュタイン

私はここでアインシュタインの言っている、その後に残るものの一つに「考える」が入っていると思っています。

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