今回で金融資産運用の回は終了です。最後は法律関係。

金融商品に関係する法律

まずは、銀行関係の話から始めます。

銀行に預けるのは普通預金でした。皆さん銀行はつぶれないと思っていますが、時折経営破綻を起こします。

その際、全く預金が戻ってこなかったら大変ですよね。

そこで、預金保険制度というものが存在します。これは、国内に本店のある銀行、信託銀行、信用金庫などが対象です。

この制度では1つの金融機関につき、元本の1,000万円までとその利息が保護対象となっています。したがって、万が一経営破綻を起こした銀行に預金していても、1,000万円以下の預け入れであれば返ってきます。

気を付けたいのはゆうちょ銀行です。ゆうちょ銀行は1300万円までが預け入れ限度額ですが、保護対象は1000万円までです。2020年の問題で問われました。

保護対象となるのは、普通預金、定期預金などで、決済用口座はそもそも全額保護対象です。

一方で、外貨預金などは保護対象外です。

実際に破綻したらどうなるかというと

破綻時の対応
  • 資金援助方式:他の金融機関が、破綻した金融機関の事業を引き受け、預金保険機構がその金融機関に対して資金援助を行う。
  • ペイオフ方式:預金保険機構が預金者に対して保険金を払う方法。当然保護金融商品の範囲内に限られる。

金融商品取引法

基本的に金融商品を利用したい顧客を守るための法律です。

金融商品取引法
  • 適合性の原則:顧客の知識・経験・財産状況・契約締結の目的に照らして、不適切な勧誘を行ってはいけない。
  • 広告の規制:リスクや手数料について明確に示し、顧客に不利益な事項を掲示しなければならない。また、わかりやすい大きな文字で明記する。
  • 契約締結前書面の事前交付義務:契約締結時、事前に商号・氏名・住所・登録番号などを明示した書面を顧客に交付する義務を負う。
  • 特定投資家制度:機関投資家や、国、日本銀行などの特定投資家と、個人などの一般投資家に分類し、特定投資家には規制の一部を除外することが可能なこと。

また、金融商品取引法の規定基づいて、投資者保護基金「日本投資者保護基金」が設立されています。金融商品取引業者が破綻した際、顧客から預かっていた有価証券や、金銭の返還が困難な際に基金が顧客に対して補償を行います。

保証の上限は顧客1人につき、1,000万円までです。

なお、日本国内の第一種金融商品取引業者(証券会社)は基金への加入が義務付けられています。

金融商品の販売等に関する法律(金融商品販売法)

こちらも基本的には金融商品を利用したい顧客を守るものです。

業者側は多様化する金融商品について、価格変動や、信用リスク、解約期間の制限や、元本欠損の恐れについて、重要事項の説明をする義務を負います。これらの説明がなかった場合には、もし、顧客が損害を被った際に、説明責任を果たさなかった業者は損害賠償責任が生じます。この際、損害として見積もられるのは元本からの欠損額です。

具体的にはリスクのある商品を説明する文章等において、それ以外に使われている文字サイズのうち最も大きいものと同程度のサイズで表示しなくてはなりません。

つまり、小さな文字でリスクがありますと書くだけではだめですよ、ということです。

適用対象は、国内商品先物以外の金融商品契約で個人及び事業者(金融業でない)が保護対象です。

絶対に儲かります!損しません!的なことを言っちゃう人は上記の法律の外側にいる人なので、詐欺の可能性を疑いましょう。

FP顧客に投資の話が来ているという人がいる場合はしっかりと聞いてあげてください。他人任せで月10%なんて商品は基本的にありません。自力で投資を行うなら可能な数字ですが。。。

消費者契約法

消費者契約法も消費者を保護するための法律です。

消費者と事業者間の契約全般に適用されます。ただし、消費者契約法は個人のみが対象です。

適用されるのは、重要事項の誤認締結、不退去、監禁等消費者を困惑させる行為を伴う場合、消費者に一歩的に不利な契約条項がある場合です。

適用される状態では、契約を取り消すことが可能です。また、一方的に不利益な契約条項は無効になります。

また、この法律は金融商品販売法と同時に適用されることがあります。

犯罪収益移転法

2020年9月のFP2級試験で問われました。

読んで字のごとく、犯罪による収益を移転することを規制するための法律です。

具体的には銀行、信用金庫、保険会社などの特定事業者が、預貯金口座の開設や、大口の現金取引などの特定取引を行う際に、顧客の身分証明書などを確認し、本人特定事項をチェックするように義務化している法律です。

また、職業や、取引の目的なども確認することが義務付けられています。

代理人を通して取引する際には、本人と代理人双方の確認が必要です。


以上で金融資産運用についてのFP試験的解説は終了です。

正直、この内容だけでは金融商品の説明は全く出来ないでしょう。

金融商品に強いFPになろうと思うのであれば、より深く違う勉強をする必要があります。

次回からはタックスプランニングに入っていきます。

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