ズバリ、撤退が一番重要です!
投資なので、必ずしも利益にならず、一定程度は負けるとわかっているはずなのですが、100%勝てる方法があるというような錯覚をしてしまったり、含み益が減るのはつらいですし、含み損が出ている状態では損失を確定させることができなかったり…
既に、FXをやっている方は、経験があると思います。
相場は当然コントロール出来ません。したがって、エントリーしたポジションが、どこまで利益を生むかは確定できません。
一方、エントリーする位置と、撤退位置はコントロールできます。
今回はFXのポジションクローズ「撤退」について考えていきます。まず、資金管理についての基本は別記事でもありますが、ここではFXを中心に解説していきます。
資金管理の基本を知ろう!
考え方次第ですが、トレーダーがコントロールできるのは、エントリー位置と、撤退位置だけです!
利確の位置を決めることもできますが、そこまで伸びるかどうかは相場次第。途中で戻ってきてしまえば、損切になってしまうこともあります。
また、利確位置まで行って、反転するか続伸するかも相場次第。ただ、そのタイミングでポジションクローズすることはトレーダーの意志に依存します。
利益を一定に出来ない以上、損失は固定できるようにして、期待利益幅と勝率から考えられる期待値が、損切より大きくなっていれば、資金はだんだん増えていきます。この考えが重要。
この、資金が増えていくという状態を作るために、撤退は重要になってきます。
私は「損切」ではなく「撤退」と表記してきました。損切と、撤退はほぼ同じ意味ですが、意識して使い分けてきました。
何が違うかというと、私は、利益が出ていても撤退することがあります。
損切は損失を確定させる行為。撤退は、予想と違う動きになったからポジションを閉じる行為。
損失が出ているということは予想と違う動きになっているので、撤退することになります。この際には損切ということになりますが、「撤退」は、利益がある状態でも起こりえます。
例えば、利確目標である価格帯に届かず反転してしまったとき、目標価格へ到達するまで耐えるのか、反転サインが短い足で確認できたから撤退するのか。ここにトレーダーの意志がかかわってきます。
おすすめは、利確目標まで耐えて、撤退位置を建値に置くこと。
とにかく損失を減らすことが最も重要で、勝率なんて極端な話、気にしなくても良いのです
トレーダーがポジションを作るとき、必ずやらねばいけないことは、許容損失(リスク)と期待利益(リワード)を決定しておくこと。これは非常に大事です。
リスクとリワードの比をリスクリワードレシオ(RRまたはRRR)と呼んで、
Risk Reward Ratioとリスクが先に来ますが、計算は
Reward ÷ Risk
で計算します。気を付けることは、エントリー時の期待される損益比のことを指しているのであって、実際の損益比を指す言葉ではありません。
実際の損益比はプロフィットファクター(PF)か、ペイオフレシオ(PR or POR)で見ることが多いです。似ていますが、ちょっと異なる概念で、PFは勝率が含まれておらず、PRは勝率も加味された値になってきます。
PF = 総利益 ÷ 総損失
PR = 総利益/利益トレード回数 ÷ 総損失/損失トレード回数
PFはどの程度儲けたかについてしか示しませんが、PRは平均的な利益と損失を比較することになるので、RRの実データ版と言えるでしょう。ただし、重要なのはPFです。
なぜならPFが1を切ると、資産が減っていくからです。
では、どのようにして、PFを上げるかというと、撤退が重要になるのです。
利益をコントロールできない以上、PFを上げるには総損失を減らすのが重要です。もちろん、利益を伸ばすことも重要ですが。
この2つを実現するためには、とにかくRRが良い位置でエントリーをし続けるということ。
極端な話、勝率は考えなくても良いです。
以下の表は、複数試行のランダム化が入っていませんが、単純計算で、RRと勝率の関係を示したものです。
私は、エントリー時の利確、撤退位置からは通常RRは3以上になっています。ただ、実際のエントリーでは戻されてしまい、建値で逃げることも多くありますので、RRではなく、PFで計算すると、1以上に収まってきます。したがって、勝率は50%以上であれば、資金は増えていきます。
とにかく負けない・微益撤退の技術があれば、勝率が低くてもRRを上げることで利益は残すことができます。
同値撤退を徹底すると、勝率はどんどん上がってきます。また、RRもマイナスが無いため、自然と上がっていきます。
したがって、トレーダーに最も必要な技術は撤退技術です。
バルサラの破産確率
先ほどのRRと勝率の関係は、一回のトレードでの期待値を考えたもので、実際に同等のRRになるトレードを続けると、実は破産します。
これは、複利で回していった際、損失の方が大きく評価されてしまうことに起因します。
例えば利益損失±1%のとき、RRは1ということになります。RRと勝率の表から
50%の勝率で良いのですが、ここに罠があります。
勝ち負けが2回ずつあった場合を考えてみましょう。
並びは6通りあります。
- 勝勝負負
- 勝負勝負
- 勝負負勝
- 負負勝勝
- 負勝負勝
- 負勝勝負
それぞれの並びで、1%動いた場合の結果を見ていきましょう。2回勝って、2回負けているのだから元に戻りそうな気がしますが、%という割合の計算の場合は結果が変わってきます。複利の恐ろしさを実感してください。
- 勝勝負負→ 101→102.01→100.99→99.98
- 勝負勝負→ 101→99.99→100.99→99.98
- 勝負負勝→ 101→99.99→98.99→99.98
- 負負勝勝→ 99→98.01→98.99→99.98
- 負勝負勝→ 99→99.99→98.99→99.98
- 負勝勝負→ 99→99.99→100.99→99.98
掛け算なので、順番が違っても、もちろん最後は同じ。ただ、恐ろしいことに、微妙に減っていますね。したがって、RRと勝率の関係を単純に示した表は、試行回数が増えると、必ず破産します。
したがって、複数回施行した際のRRと勝率の関係を考える必要があります。それが、バルサラの破産確率表。
正確に知るためには、1回のトレードにどれだけの資産を入れるか、許容損失はいくらであるかというのも加味する必要があります。
ここでは、1回のトレードで5%動くとした場合の勝率と、RRの関係を見てみましょう。
破産の確率で見ると、RR1勝率50%は破産確率0.0%に見えますが、黄色い表記は0.0%でも完全な0%ではなく、小数点以下2位よりも下に数字があります。1回で5%のリスクを負った場合には限りなく、0%に近いということ。
したがって、1回の許容損失を上げた場合は、破産する確率が上がります。
10%のリスクをとる場合を見てみましょう。
10%のリスクでは、RR1勝率50%の時、0.4%の確率で破産することがわかります。したがって、RRが1の場合は勝率60%程度を目指す必要があるわけです。
これを改善するには、3つの方法があります。
- 1回のトレードに対する許容リスクを下げる
- 勝率を上げる
- RRを上げる
トレードに対する許容リスクは始めに設定すればよいので、簡単です。
勝率と、RRを上げるためには撤退技術の向上で改善可能です。
もちろん、エントリー精度を上げることでも改善できますが、それには知識と技術が必要です。
撤退も技術は必要ですが、エントリーと違って、精度がいりません。
ルールを設定することだけでいいのです。
では、そのルールとは何か?おすすめは
「エントリー根拠が崩れたら損切」
これが一番簡単です。よく、5pips固定という人もいますが、それでもよいのですが、その場合であれば、5pipsで根拠が崩れてしまうという点まで引き付けるべきです
例えば、水平線でエントリーしたのであれば、抜けたら損切とするのがベストです。
とにかく負けないことを意識するのが大切なので、撤退のルールは確実に決めましょう。
当サイトでも、今後、撤退とRRについて解説していきます。