今回はプロスペクト理論について話します。
プロスペクト理論は投資の世界では重要な概念です。
ざっくりいうと、人は痛みを避けたい生き物であるということ。
投資の痛み、つまり損失と、どのように付き合うべきか。この理論を知っているとメンタルを守ることができます。
まずは、投資についてメンタルの重要性を見ていきましょう。
投資に対するメンタルの重要性
投資において、メンタルというのは実に重要なファクターです。何らかの要因で狼狽してしまうと、正常にトレードができず、思わぬ損失を被ることがあります。気を付けるべきことは以下のようなこと
- 仕事、家庭、友人関係等の投資以外の事象
- エントリーポイントを逃したことによる損失感
- 含み益が減ってしまうことの恐怖
- 含み損が解消されるという思い込み
すでに投資を行っている方は思い当たる点があるかもしれません。
仕事、家庭、友人関係等の投資以外の事象
これは、常に円満に事が進むようにしていただけるのがベストですが、相手側の要因でそうもいかないのが世の常。
こういったことで、心を乱されたら、素直にトレードから離れたほうが良いと思います。本当に機械的にエントリーできるなら大丈夫ですが。
エントリーポイントを逃したことによる損失感
入りたかったポイントを何らかの事情で入れなかった時がこのパターン。
思惑通り、するすると伸びていく様を見て、ついつい飛び乗ってしまうと、手痛い損失を被ることに。利確ポイントをあらかじめ設定できているのであれば、リスクリワードを加味して、初めから反発確認後、この価格までならエントリーする!などと決めておくと良いです。
相場は、見逃し三振でアウトになることはありません。次のチャンスを待ちましょう。
含み益が減ってしまうことの恐怖
エントリーがうまくいって、利益が乗ってくると、この利益が減少してしまうのではないか?という恐怖感から、目標の利確ポイントに来る前に利確をしてしまいがちです。
さらに問題になるのは、いったん利確したにもかかわらず、伸びていく様を見て中途半端な位置で再度エントリーしてしまうこと。
エントリー前に利確位置と損切り位置を決めておきましょう。ただし、利益を1度確定するという行為は、全く問題ありません。利確を早くした分、勝率が上がったと信じて、次のチャンスを待ちましょう。利確は正義です。
含み損が解消されるという思い込み
これは絶対に避けなければなりません!まず、エントリーする際に、必ず損切は設定しましょう。
その際に、損切・利確ポイントの現在位置からの比が1:1以下になるようであれば、エントリー自体を避けましょう!
エントリー後に含み損を抱えることはよくあることですが、最初に決めた損切ラインを変更するのはやめましょう。経費だと割り切るのが良いです。
プロスペクト理論
プロスペクト理論とは、行動経済学で、不確実性下での意思決定の1つのモデルです。同じ値幅であっても、利益と損失では同じように考えることができず、「期待(prospect)」によって評価がゆがんでしまうことです。
具体的な例を見てみましょう。
- あなたは2000万円の負債がある
- 確率1/2で勝つか負けるかの勝負
- 挑戦しなかったら、負債は1000万円に減額される
- 挑戦して、勝つと負債は無くなる。(+2000万円)
- 負けたら、負債は2000万円のまま
この条件だった場合、あなたはどうしますか?
負債を帳消しにするために、もらえるお金で挑戦しますか?それとも、1000万円の損失を受け入れますか?
次に、以下の条件で見てみましょう。
- 確率1/2で勝つか負けるかの勝負
- 挑戦前に1000万円貰える
- 挑戦権は1000万円
- 勝つと2000万円になる
- 負けたら1000万円が受け取れない
勝負して、2000万円を貰いに行くか、勝負せずに、1000万円を確実に貰いに行くか。
この場合は多くの人は1000万円を貰いに行くとされています。期待値はどちらも+1000万円ですが、勝負するほうは偏差が存在します。つまり、確率的に損するリスクをはらんでいます。
また、1つ目の条件と2つ目の条件は、実はどちらも期待値は一緒です。つまり、どちらも答えが一緒になるはずです。
堅実な人ほど、勝負しませんが、負債があるときには勝負をするが、何もない時は勝負せずに1000万円を受け取るという判断をする人が多くなります。
こういった、自身の状況を加味した時に判断がゆがんでしまう現象を説明するのが、プロスペクト理論です。
心理的に損失を避けたい傾向にあり、前者は1000万円の損失確定を避けたく、後者は1000万円分のブレをリスクとして避けたいと考えていると思われます。
投資におけるプロスペクト理論
今から1時間後に5000円の利益、または損失が出るとします。
以下の条件であなたはどのように判断するでしょうか?
- 含み益が1万円
- まだエントリーしていない
- 含み損が1万円
すべて同じ判断が下せましたか?それとも、3つの条件ごとに答えが違いましたか?
常に、勝率50%、リスクリワード1:1の条件です。したがって、同じ判断を下すことができるのがベストです。
当サイトで勧めているのは、
- 勝率50%以上
- リスクリワード比 2以上
- 投資資金は余裕資金の5%以下
この条件であれば、すべて、ポジション解消が正解です。利確、エントリーせず、損切をするところです。
このように、判断を鈍らせないためには、初めから利確とリスクの比率を決めておく必要があります。
まとめ
プロスペクト理論でいわれるように、人は、利益と損失を同じように評価できません。
それ自体は自然なことなので、受け入れましょう。受け入れたうえで、メンタルの状態で判断が変化しないように、あらかじめ、利確・損切の位置を決めるように心がけましょう。
勝率よりも、利確損切の比率が2以上になることを心がけてエントリーし続ければ、確率的には黒字になっていきます。
投資で勝つために必要なことは、ルールを徹底的に守ること!です。