移動平均線の解説をした後に気づきました。

まず、マルチタイムフレームという考え方とフラクタルという概念を教えるべきでした。

この2つの概念は、2つで1つと言っていいくらい、重要な考え方です。

ほぼすべてのテクニカル分析は、このフラクタルという概念をおさえたうえで使用すると最大限の効果を見込めます。

また、チャートを見る上でも重要な概念です。しっかりと身につけて、利益を上げられるようになっていきましょう!

フラクタルとは

幾何学的概念で微小な単位の繰り返しによって、大きなものが作られているような性質のもののことを指します。例として良く取り上げられるのは海岸線や、血管構成、マトリョーシカなどです。

マトリョーシカはロシアの民芸品で、サイズの異なる同じような形の人形が1つ上のサイズの人形の中に入ることができて、繰り返していくと、最終的に一番大きな人形にまとまるものです。上の写真が見本です。

フラクタルは概念として伝えるのは難しいのですが、ようは、似たような構造が、拡大しても縮小しても存在するというものです。

フランスの数学者、マンデルブロが提唱したとされていて、彼が、フラクタルという概念に気づいたのは、株価のチャートだと言われています。

チャートでフラクタルを見てみましょう。

まず、図で概念から見てみます。

青い矢印の赤丸部分を拡大してみると、オレンジの矢印が入っています。右側に一度で表現していますが、イメージとしては、小さい矢印が集まって、大きな矢印を形成しているという感じになります。

実際のチャートを見てみましょう

実際のチャートに矢印を付けました。大きなの矢印の動きの中に、中くらいのい矢印があって、さらにい小さな矢印がその中に入っているというようなイメージがつかめるのではないかと思います。

実際、ローソク足の説明をした時も、下位足のローソクが複数集まって、上位のローソクを形成していましたね。そして、ローソクが複数集まると、波のようなうねりを見せますが、1つ1つのローソクの中にも小さなローソクたちが波を作っているのです。

つまり、小さな波が集まって、中くらいの波を作り、大きな波へと育っていくということです。

この概念が「フラクタル」です。

何に役立つの?って思うかもしれませんが、マルチタイムフレームという概念を学ぶと、重要性がわかってきます

それでは、マルチタイムフレーム分析について見ていきましょう

マルチタイムフレーム分析とは

マルチタイムフレーム(Multi-timeframe)とは、複数という意味の接頭語「multi」がついたtimeframe「期間」なので、複数期間の分析を行うという事

先ほどのフラクタルの話にもありましたが、大きな流れの中に、中くらいの流れがあって、その中に小さな流れがあって…という感じにどんどんと小さな波によって、大きな波が出来ていくことがわかりました。

この、大きさの異なるそれぞれの波を、それぞれ解析して、エントリーするのにより優位なタイミングを狙いましょう!っていコンセプトがマルチタイムフレーム分析(MTF分析)です。

具体的に考えてみましょう。

マルチタイムフレーム分析の考え方

皆さんは、自分のトレードスタイルは何だと思いますか?まだトレードしてないよ!っていう人は、どんなスタイルで取引したいですか?

個人のトレードスタイルは、大きく分けると以下の3つになると思います。

  • 一瞬で稼ぐ!短期トレーダー:スキャルピング
  • 数時間の保有をしても、大体1日で取引を終えたい!:デイトレード
  • 日をまたいでなんぼ!ゆったり大きく狙いに行く!:スイングトレーダー

ざっくりいうと、短期・中期・長期のトレードスタイルがあります。スイングと呼べるかわかりませんが、数か月、数年単位で保有する超お金持ち達もいます。

為替は、そのほとんどがFXの証拠金取引で価格が動いています。つまり、価格はトレーダーの受給によって変動していると言っても過言ではありません。

したがって、トレーダーの心理を読むことが、FXで勝つコツであると言われています。私はあまり気にしたことがありませんが…

それは置いておいて、様々な視点を持ったトレーダーたちのことを考慮したほうが、勝率が上がるのも事実。この考え方がマルチタイムフレーム分析なのです。

つまり、短期トレーダーから長期トレーダーまでのエントリーポイントを考えてあげるわけですね。

具体的なマルチタイムフレーム分析の方法

ざっくり2通りのマルチタイムフレーム分析があります。1つは見る時間足をかえるもの。もう1つはインジケーターの期間を複数使うもの。複数時間で、複数インジケーターを使うという複合型もあります。

マルチタイムフレーム分析の例
  • 複数時間足で分析する
  • 複数期間のインジケーターを利用する

例えば、スイングトレーダーであれば、月足をみて、売買の優位性を判断し、週足で、月足の流れに沿っているかどうか、日足で、エントリータイミングをはかる。といったように、長期の足から、実際にトレードを行う時間足に落とし込んでいくという作業がマルチタイムフレーム分析の複数足で分析するものです。

こういった分析を環境認識と呼んだりもします。環境認識自体は、同じ時間足だけでもできるので、各時間の環境認識=マルチタイムフレーム分析といったところ。

スキャルピングトレーダーであれば、日足→1時間足→5分足といった流れで、エントリーポイントを絞っていきます。

私はスキャルピングからスイングまで何でもやりますので、月足から1分足まですべて見ます。まぁ、月足はひと月に1本しか増えないので、毎日見るわけではありませんが。

環境認識に使う手法は何でも良いです。自分の好きなテクニカル、インジケーターを使って考えていくと上達も早いです。

チャート分析の話で、すでに移動平均線をやりましたが、この説明にMTF分析を使っていました。今後も、様々なテクニカル分析を行っていきますが、基本的にはこのMTF分析の概念を知っているだけで、勝率が上がりますので、しっかり意識していきましょう。

複数期間のマルチタイムフレーム分析はPOの概念に通じますが、短期・中期・長期等、複数の期間に設定したインジケーターを同時に表示して、その位置関係などから方向性から環境認識をするものです。

移動平均のPOを使ったマルチタイムフレーム分析については既に記事にしています。移動平均線のゴールデンクロス、デッドクロスを使った複数時間足のマルチタイムフレーム分析を見てみましょう。

時間軸を変えるマルチタイムフレーム分析

USDJPY1D

これは2020年3月~4月のUSDJPYの日足です。75期間EMAを試しに表示しています。

GCからDCまでを青色の箱(A,C)、DCからGCまでを赤色の箱(B,D)で囲っています。GCが起きているところは黄色のEG、DCが起きているところは白のFとHです。

大きく見るとレンジ推移なので、上にも下にも行ったり来たりしています。このあと、4h→1h→15m→5mと、時間足を小さくしていってみます。

USDJPY4h

4時間足で見てみると、日足の青箱よりも少し前からGCが始まっていますし、他の箱ではぴったりだったり、少し遅かったりと少しずつずれていることがわかりますよね。

この、先行していたり、遅れていたりというズレを利用していこうというのがMTF分析の重要なところ。さらに小さな足を見ていくと、もっと面白くなっていきます。

次に1時間足を見てみましょう。

USDJPY1h

75EMAにクロスではなく、タッチするところからも矢印を作りました。さて、このすべての矢印を狙ったのでは、MTF分析の意味がありません。

MTF分析の神髄は、流れが強いと思えるところで狙っていくことにあります。

この場合では、日足GC中のA、日足DC中のB,Cがそのポイントになります。

つまり、上位の足と、下位の足の方向性があっているところを狙いましょうという事。

さらに下の足を見ていきます

USDJPY15m
USDJPY5m

狙えるところがだいぶ増えてきましたね。移動平均線1本でも、見る時間足を複数にすることで、より優位なトレードが可能になります。

次に複数期間の場合を見ていきましょう。

複数期間インジケーターを使ったMTF分析

USDJPY4h
緑の線は25EMA 白の線は75EMA 赤の線は200EMAを示しています。それぞれ、短期・中期・長期のトレーダの意識を集めるMAとして代表的に出しました。

ここでは、向きを重視して、表記しています。

各MAの向きを大雑把に矢印で示しています。

青い枠で囲った部分はすべてのMAが上向きである部分(少しのずれはご容赦ください)、赤い枠の部分はすべてのMAが下向きである部分です。

並びまで考慮すればパーフェクトオーダーと呼ばれますが、やや、反応が遅れます。ただ、短期MAの向きだけを気にしてしまうと、反応は早いけれど損切に遭うこともしばしばです。

しかし、大まかな流れをとらえるには、3本の向きを見るのでも十分に使えそうですよね。

これが「複数期間インジケーターによるMTF分析」です。

また、複数期間インジケーター+複数時間足を使ってより詳細な分析を行うことも可能です。

様々なチャート分析においてこのMTFという概念は覚えておくと良いです。しっかり使いこなせるようになりましょう。

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