今回は箸休め的話題 相場ってランダムに動くの?機械仕掛けのように動くの?
っていうお話です。
割と 相場界隈の人に聞くと、けんかになるくらいどちらかに偏った意見があって、それぞれに主張があって、面白いなと思います。
私は研究者なので、少し遠めの位置からこの話題をいつも見てますけど、正直、「どうでもいい話」
この記事を見てどう思うかはあなた次第です。
この記事の話は、私の個人的見解ですので、話半分で見てください。あなたのトレードにとって、ベストな回答を自分で出せるようになるのが最も良い事です。
テクニカル効く?効かない?
「今はテクニカルが効かない相場」だの、「そもそもテクニカルは役に立たない」っていうテクニカルは関係ない派の人もいます。
反対に「テクニカルによって相場は支配されている」、「機械のように正確に相場は動く!」って主張する人もいます。
また、一方で、「相場はファンダメンタルで動く!」って言っている人もいて、どれを信じたらいいの?って、初心者の方は思うでしょう。
最初に手に取った本や、note、教えてくれた人に依存して、どれかの説を受け入れる もしくは批判する立場になる人が多いようです。
研究者としての感覚としては、「どれも正解」、対立概念じゃなくて、見方の違いなだけなんだと考えています。
それぞれの主張
色々な意見があるようですが、まとめると以下のようなものになると思います。
相場はランダム派
- 統計的に見たら上がるか下がるかは2分の1の確率に収束する
- 分布に正規性があるからランダム
- テクニカル分析が効かないときがある
相場は機械のように正確派
- テクニカルでピンポイントに転換点がよめる
- ランダムならトレンド出ないでしょ
- テクニカル効かないって言ってるのは、テクニカル不足なだけ
ファンダメンタル派
- 指標発表で大きく動くのは経済動向が重視されているから
- 景気の良い国の通貨が強くなるからファンダでしょ
と、こんな感じに分かれてくると思います。
なぜ、みんな仲良くできないのか、私はそれが不思議です
なぜなら、どれも間違っていないでしょう?
量子力学の話
突然ですが、量子力学の話をします。
現代の科学の根幹的な考え方になっている、電子その他の微粒子の物理現象を記述する力学の話。シュレディンガーの猫が有名。
猫の話は等価な状態を共有する第三の状態(生存1/2・死亡1/2の合わさった状態)が確率として表現できるっていうめちゃくちゃな話ですが、実際問題、現実に起こる事実は確率によって制御されています。つまりランダムです。
恐ろしいことに、電子は観測されるまで波(エネルギーそのもの)と物質の2つの状態を併せ持っています。
本当に科学は楽しいですが、今日は相場の話なので、置いておきます。
ここで重要なのは、この確率で表現される小さな物質の話は、多数集合して、大きなものの話になると、確率的には無視しても良くなってきて、古典力学のように確率を排除した話も可能になってきます。
ちなみに、アインシュタインはこの不確定性原理に基づく確率論が受け入れがたかったようで、
「神はサイコロを振らない」
と表現しました。私も、未知の因子を見つけることができれば、ランダムではない挙動を記述できるのではないかと考えています。 …が未知なので、確率で近似することを受け入れています。
さて、勘の良い人は、なぜ量子力学の話をしたのかわかってもらえると思うのですが、つまり
「ランダムであるということと、正確に動くという状態が共存しても良い」ということ。猫が1/2死んでいる状態と同じですね。
相場はフラクタル
テクニカルでわかると言っている人は、相場はフラクタルだと言っている人が多いと思います。特にMTFのような分析をする人は、必須の考えです。
実は確率的にランダムなものもフラクタルな集合を作ります。結晶構造や、血管構成その他もろもろ、確率的に最も安定な形は精密機械のような安定した繰り返し構造を取ります。
ここで、あるチャートを見てみましょう。
上昇トレンドになっていますね。これにチャネルや、水平線を引いてみます。
チャネルもしっかり引けましたし、サポレジ転換もします。水平線も引けますね。
価格からドル円っぽい感じがしますが、これはエクセルを使って、rand関数というランダムな数値を発生させる関数を使って作ったチャートなのです。
ランダムなので、2度と同じチャートは作れません。正確には、ものすごく低確率で起こりますが、私の人生の間中試行したとしても同じにならないくらいの確率です。
実際に作った関数は
=A1+(rand()-$B$1)*A1*$C$1
A1に初期値、B1には0.5付近の値、C1は0以外の0に近い値が良いです。この関数をA2に書いて、セルの右下の大きい四角をドラッグして下に伸ばしていくと、たくさん数値が生成されます。
この数値を折れ線グラフにしたものです。
B1はトレンドの傾きやすさに影響を与える数値です。rand関数は0~1の値を返しますので、このままでは必ず上昇するチャートしか描けないので、今より小さい値を出すには値の範囲を-0.5~0.5にする必要があるので、B1は0.5としています。
平均値が0以下になれば下落トレンド、0以上であれば上昇トレンドになります。すなわち、0.5より大きい数値を設定すれば、下降トレンド、0.5より小さい数値なら上昇トレンドが生成されます。ただし、ランダムなので、設定と反対方向に動く可能性はあります。
C1はボラティリティを加味しています。1ドルが100円が次の日に10円になることは…ないとは言い切れませんが、とても小さい確率だと、皆さん判断できると思います。では、ローソク1本で、どの程度動く可能性があるのか…それがボラティリティですね。ATRなどを使えば、期間あたりでどの程度動いてきたかが認識できますので、それに合わせて、C1を何となく設定してもらえばよいと思います。日足を想定しているのか、1分足を想定してチャートを作るのかに依存して変えたら良いと思います。このチャートでは0.01設定にしました。最大でも現在値の上下に1%の半分までしか動かないことを示しています。
さて、このチャートの話を聞いて、ランダムだと思いましたか…?
私は、テクニカル分析はこのB1・C1に該当する傾きを見出すものだと思っています。もしくは、確率的ばらつきを視覚化するものと認識しています。
また、B1・C1はファンダメンタルや、相場参加者の意識に影響を受けていると思っています。
ダイレクトにばらつきを表現するボリンジャーバンドもありますが、正規性を担保するには期間20は短すぎると思っております。その話はまた別の機会に。
私の認識
ここまで書いてきたように
- 相場はランダム
- だけど、ばらつきや係数はテクニカルで追える
- ばらつきや係数はファンダメンタルや相場参加者の意識に影響を受ける
と考えています。したがって、ランダムとテクニカル、ファンダメンタルが同居しています。
相場はランダムに規則正しくファンダメンタルの影響を受けながら動いてますよ。
意識の集合は無意識なランダム様の動きを示しますし、無意識(ランダム)の動きの集合は意識があるようにふるまいます。
我々の体も無意識の細胞の集団ですからね。意識をもって動いてますが、ヒトが集まると無意識のような動きをします。
今回は私の考えを、ただただ書いただけですが、相場や、生き物の相互関係、科学の面白さなどに興味を持ってくれたらうれしく思います。