本日は老後資金を考える上で外せない年金がらみのお話です。得しかしない制度ですが、あまり知られていないうえに、自己申告でなくては適用されない、良いけれども、使い勝手が良くない制度の話です。

産休育休後に時短勤務等で給料が減る方は、多少面倒ですが必ず手続きしましょう。なお2年さかのぼって申請できます。

復帰時期にもよりますが、3歳までなら概ね事後でも全ての期間がカバーできるのではないでしょうか。

養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置とは

どのような制度かというと、デメリットなし(手間が少しかかりますが)でメリットしかない制度です。知らずに手続きしないと損です!

具体的には、育休明けで復帰した際に標準報酬月額が下がっても、下がる前の標準報酬月額で将来受け取れる年金額を計算してくれるという制度です。ちなみに、子が3歳になるまでです。

良くわからないという声が聞こえてきそうなので、もう少し詳しく説明します。

まず、標準報酬月額ですが、こちらは社会保険料を源泉徴収する際に適用される給与水準の事です。一般に4-6月の平均給与で決定され、一年間使われます。

ただし、給与の制度改定や昇進に伴う給与額変更、育休復帰に伴う給与減少などの際には随時再計算されます。

「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」の良いところは、標準報酬月額が減少するように再計算された際に効力を発揮します。

通常、育休復帰後は時短勤務や、残業の減少で、育休前と比べて、給与が減少することが多いです。しかしながら、子育てによる給与減少によって将来受け取れる年金額が減ってしまっては、子育てによって不利益を受けることになってしまうので、社会福祉の観点から好ましくないことは明らかです。

そこで、本制度は給与減少に伴って標準報酬月額が減少してしまっても、従来通りの掛金を払っていることとして、将来受け取る年金額を計算してくれる素晴らしい制度です。

つまり、この手続きをしないと、将来受け取れる年金額が減少します。。。

しかしながら、自己申告をしないと使えない、実に良くない制度です。まぁ、復帰後に給料が減らない人もいるので、仕方のない事なのかもしれませんがね。

実際どのくらいお得なの?

これは給与水準によって異なるので、一概には言えません。以下に、モデルケースを示しますので、参考にしてください。(東京都の場合、ボーナスは計算していません)

もともと25万円貰っていた人が、復職後何らかの理由で20万円になった場合は上記のようになります。標準報酬月額は6万円減少しますので年金への影響は年間7893円となります。

安いと思われるかもしれませんが、年金をもらい始めてから毎年この額の差が出ていきますので、90歳まで生きた場合は、197,325円違います。長い目で見れば間違いなくお得です。

特に産前はバリバリ働いていて、残業をたくさんしていた人などは給与が10万下がる人もいるでしょう。産前と復帰後の給与差が大きければ大きいほど、年金への影響は大きくなります。損することはないので、必ず手続きしましょう。

手続は?

手続はどのように行うのでしょうか。見ていきましょう。

まず、書類を作成しなくてはなりません。厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書の必要事項を埋めます。この書類は日本年金機構のHPよりダウンロード可能です。

そして、この書類と戸籍謄本(抄本)と住民票を、事業所を管轄する年金事務所に届け出ます。届け出は窓口でも郵送でも可です。

いかがですか?少し手続きは面倒ですが、間違いなくお得な制度ですので、必ず利用するようにしましょう。

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