相手がクズだと、和解したところで無価値!損害賠償は振り込まないし、和解条項を守ろうという意思は無いです!そりゃー道路交通法守らない人達ですからね… 前回に続き、間接強制編

FP嶋が伝えたいこと
  • 判決、またはそれに類する債権は強いけど‥紙切れ!
  • 強制執行は基本費用負けする
  • 給付条項は具体的にしよう
  • 司法は無情
交通事故の示談交渉等は、経験豊富な専門家に相談しましょう。

クラクションの大きな音が出ます。視聴の際は気を付けて下さい。

和解調書

強制執行差押え編でも示していますが、私が行った和解の概要は、以下のようなものです。※マークは、私が入れなかったけど、反省点を踏まえて、皆さんが、実際に、当事者になってしまった場合に、気を付けて欲しい点を付記しています。

  • 被告は、原告に対し、本件損害賠償債務として30万円の支払い義務がのあることを認める。(確認条項)
  • 被告は、原告に対し、前項の金員を~(期限)原告名義のxxx銀行yyyy口座に振り込む方法により支払う。なお振込手数料は被告の負担とする。(※ここに利息入れてもらいましょう。)(給付条項)
  • 被告は、交通安全講習を実施し、それをホームページ上で公表する。(※誰による交通安全講習か、例えば「警察」とか、「交通安全に熟知する者」、と、誰にか、例えば、「被告の全従業員」とか「ドライバー」とか、ホームページが既にあるなら[www.~」みたいなのも指定しましょう。公表の場合は対象を限定する必要は無いと考えられますが、「原告に対し~」というような文言も入れるとベター
  • 原告は、その余の請求を放棄する。(以下、清算条項)

この記事では、交通安全講習をしたうえで、ホームページ上で公表してもらえるものと期待した、私の愚かさと、間接強制を行う上での注意点を示します。そうです。私は損害賠償は回収できましたが、間接強制は却下されました。

間接強制!

間接強制ってのは、ほとんどの人が聞いたことがないかと思います。

こちらは、強制執行が出来ないような給付条項を、「やらないならお金とりますからね?」という心理的負荷をかけることで、実行してもらおうという強制執行のひとつの形だと思ってください。

通常、離婚後の子供との面会などで使われるもののようで、本件のようなケースでは調べても出てこないと思います。

交通安全講習を行ってホームページ上で公表という内容に、間接強制を申し立てました。だって、履行されていないもの。

強制執行で銀行口座を差押え、損害賠償については回収できたので、こちらも決定されるものと思っていました。しかし、実際は、そんなに甘いものではありませんでした。

間接強制申立

裁判所の例すら、基本的には、離婚後の子の面会ばかりで、間接強制に関する情報はほとんどありません。そこで、私は、和解調書を作った裁判所に連絡して、「間接強制を行いたいです」と伝えると、担当書記官の方が、「あまりないケースで、私もすぐにこうしたほうが良いと言えないので、調べて折り返し連絡する形で良いですか?」というので、待つことに。

裁判所は中立ですが、手続き上の話はしっかりやってくれます。

その結果、「交通安全講習や、ホームページ上での公表というものの訴訟額が不明なので、地方裁判所で手続きを行ってください」という事で、簡易裁判所から、地方裁判所に変更になりました。訴訟額が不明な場合は地裁で手続きを行うようです。一般的には、判決等をだした裁判所に申し立てます。

こうして、地方裁判所に申し立てを行うことになります。

申立

どんな申立かというと、

  • 債務者は「交通安全講習を実施し、それをホームページ上で公表する」義務を負う。
  • 本決定通知送達の日から10日以内に履行しない場合は、履行済みまで1日につきxxxx円の割合による金員を支払え

という感じの申し立てになります。これ自体は、不代替作為義務違反に対する~というような申立書のテンプレートが裁判所HPにあります。

で、このxxxx円を計算する根拠を示す書類が必要になります。間接強制に対する制裁金の額は、

  • こちらの損失額
  • 債務者の資力
  • 債務者の悪質さ

を元に計算されます。でも相手の資力なんてわからんので、推定したものを根拠として、制裁金を設定しました。こちらの損失に関しては、精神的なものなので、こちらも良くわからないので、自分のお給料からこの位のダメージなのでxxx円です。というような形で主張しました。

債務者の悪質さに関しては、これまでの態度、っというところを加味して、裁量で決定。賠償額を期日までに払ってないので悪質です!と主張して、トータルの金額を計算して、主張します。正直、相手が企業であることもあって、すごい金額が計算されました…。

金額に関しては、本当にケースバイケースです。子の面会程度なら月数万程度かと。ニュースレベルでは、暴力団が、マンションに入っているのを追い出せるはずの債権で、間接強制で100万円/日というのを見たことがあります。

相手側の反論

申し立てをすると、決定までに相手側に反論の機会があります。

私は、当該企業への強制執行の経験から、反論してこないで期日が来て、決定されるんじゃないかと思っていたのですが、思いのほか反論してきました。今までこちらからの要求や、損害賠償請求すら期日までに払わなかったくせにね。驚きました。しかも、その内容にも驚かされることになりました。

代理人弁護士の主張はこうでした。

期日が設定されていないので、これは給付条項ではない」。

は?

そうです。相手代理人が「私だけで決められないから期日はつけないで欲しい」的な事を和解の場で言っていたのはこういう事ですね。クズです。(立場上仕方ないけど)

被害者側は本当につらい思いをしている訳ですが、戦いの手を緩めてはいけません。やるからには相手の心臓を握りつぶすつもりで…って何かの漫画にありました。相手側代理人弁護士は、所詮、加害者の味方です。絶対に妥協しないようにしましょう。相手に条件を出すのであれば、

  • 具体性
  • 期日
  • 不履行時の罰則

は、付けましょう。

良いんです。加害者に人権なんて考える必要ないんです。こっちは被害者です。やられたらやり返しましょう。合法的に。私は失敗しました。(手続き費用分減ってはいるものの損害賠償は取れています)皆さんは失敗しないようにしましょう。納得のいく結果にならない可能性もありますが、和解なんて選択する必要ないんです。

この酷い(心理的に)主張に対して、こちらの反論を行います。和解の場で互譲して入った条項で、「公表する」という文言から給付条項であることは明らかです。と、

裁判所の決定は…却下!

とはいえ、裁判所的には、具体的に何をすればよいのかについて触れられていない事に起因して、間接強制が不可能である。として却下の判定をしました。給付条項であるかどうかなんて気にも留めていないようでした。

もちろん納得いかないので、執行抗告を行いました。が、上級審でも却下

民法上は、期限の定めがない場合は、督促した時点から履行義務が発生することになっているので、期限が無くても問題はありません。しかしながら、上級審での却下理由は、「交通安全講習が具体的に何をすべきかの判断が出来ないために、間接強制を行うことが出来ないため」となっていました。

これは、暗に給付条項である事、期限の定めが書かれていない事などは、問題ではないという事を示唆していますが、「何をすればよいか具体性のある和解条項にしてね」という意味です。これが、私がこれまでに何度か示した、和解条項の具体性の必要性です…

こちらとしては、交通安全(道路交通法を遵守せよ)という内容で、講習(講師による情報提供)の形であれば良いので、十分に具体的であると主張しましたが、ダメでした。

本件の場合、交通安全講習の定義が必須という事になります。

すなわち、誰が、誰に、どのような形で、講習すべきかといった条件を付記しておくべきでした。

私としては、例えば、「30万円の金員を支払え」。に対して、「1万円札30枚で~」と書くようなレベルだろ!って思うのですが、相手はクズです。小学生でもわかるように和解条項は書きましょう。

したがって、理想的には、確認条項も含め以下のような和解条項であれば良かったと思います。

被告は、被告の有するドライバーに対し、交通安全講習を行う義務のあることを認める(確認条項)

被告は、被告の有するドライバーすべてに対し、警察やJAF等の、道路交通法や、交通事故様態に熟知する者の開講する講義を1回以上受けさせ、その様子を、被告の運営するホームページ(http~)上において、原告に確認可能とするため画像等も用いて、実施日時等を公表する。

ぐらい書いておかないといけなかったんだなぁ…という事。

本当につらい話ですが、今回は相手弁護士が上手だったという事(当然、私は、法律紛争解決の素人)。

もう、2度とあおり運転されるのは嫌ですが、同じような状況になってしまった人の為に公表しておきます。

なお、車に、破損が出るような事故が起きていなくても、弁護士特約を使える場合があります。保険には、弁護士特約を付けておきましょう。

弁護士特約

弁護士特約とは、保険につけられるオプションのひとつで、弁護士費用、訴訟費用等を保険で賄える制度です。

通常、相手側との交渉は保険会社が行ってくれますが、こちらに全く非が無いような0:100の追突事故のような場合には、保険会社は何もしてくれません!というか、過失がないので補償するものがなく、何も出来ないのです。

そんな時でも適切に対応してくれるのが弁護士、慰謝料等も過去の判例から適切に見積もってくれます。

交通事故の示談交渉等は、経験豊富な専門家に相談しましょう。
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